ケ・セラ・セラと生きて、セ・ラビと酒を飲み(イラストレーター渡辺隆司のブログ)

なるようにしかならないけど、それが人生...せめて酒に唄って行きますか

プレジデントカップ

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朝の7時過ぎまで、見てしまった。
プレジデントカップ最終日のシングル戦。

石川遼という男、こういう場面で見事に成長した、と思う。
日本にいて、優勝だの賞金王だのというレベルとは全然別の次元の戦いを体験することによって、おそらく2-3年賞金王を続けたくらいの経験を実感したことだろう。
飛ばし自慢の彼が49歳のペリーにも負けるくらい、アメリカには普通に飛ばすプロがたくさんいること、自慢のドライバーが結局一番トラブルの元になっていること、ショットも悪くないが石川の才能はパッティングにあったということ、強いプロというのは「此処一番」で絶対的な力を出すこと…等々。
本当なら、このままアメリカツアーに参戦して、その成長がどこまで続くかを試した方が良いんだろうが...

彼の18歳という年齢を考えると、このままでは近い将来燃え尽きてしまうような気もする。
彼はゴルフでは、世間の予想を完全に覆すくらいな急成長を遂げて、日本のゴルファーの夢を託すような存在になってしまったが、まだたった18の子供なのだ。
以前に書いた「クラチャン」の話で、「子供のクラチャンには重みも深みも無い」ということがあったが、それも当たり前。
中学生や高校生がクラチャンになったって、それは単に技術がすごいというだけの話で、まだゴルフ以外の人生はほとんど経験していないのだから、そのゴルフに人生を感じるような深みも味も出るはずが無い。
石川遼もたった18歳...まだゴルフ以外のことはほとんど知らないだろう。

だから、ニクラスもタイガーも「プロになるのは大学を出てからでもいいんじゃないか?」と言ったんだろうと思う。
今のまま、ゴルフの世界しか知らず、しかも常にカメラにさらされた生活を何年も続けたら、普通の感性を持った人間なら耐えられなくなってしまうだろう。
今は「人生」あるいは「青春」をもっと楽しむこともした方が良い、と思うのだが...

それに関係ある状態なのが、もう一人キャプテン推薦で選ばれたアダム・スコット
かっては「ホワイト・タイガー」とまで言われたエリートゴルファーで、ハンサムで人気があり、タイガー・ウッズに対抗できる類いまれな才能の持ち主と認められ、少し前には世界ランク3位にまでなった若者。
それが、(あくまで風の噂だが)女性に振られてから、予選も通らないレベルのボロボロのスランプに陥ってしまったという。
膝を痛めて手術したのが原因ともいわれているが、今回ノーマンの親心で「立ち直りのきっかけになれば」と推薦されたが、やはり良い所無く終わってしまった。
だが、彼が此処から立ち直り、再びホワイト・タイガーの輝きを取り戻せば、「人生を知った」味のある魅力的なプロゴルファーになると信じている。
その方が、あのエリート然とした以前の姿より、苦悩を克服した男としての重さや渋さが感じられるはずだし、プレーにもそれが現れてくるだろう。

そして、今回見ていて一番気に入ったのが、ティム・クラーク。
こいつはすごい!
身長は170センチあるかないかだろうし、飛ばないけれど、ショットの切れが素晴らしい。
彼のどの試合もショットの切れは、彼が一番だと思った。
タイガーとストリッカーの最強ペアに対しても、ウィアーの凡ミスが重ならなければクラークの組が勝っていたと思う...最終日のシングルも彼の圧勝だったし。
ほかの選手がミドルアイアンやショートアイアンを使う中で、ロングアイアンやショートウッドでピンに絡んだショットを打ちまくる彼のゴルフには、久しぶりに興奮した。
こんなすごいゴルファーがアメリカでまだ優勝が1回も無いというほど、アメリカツアーのレベルは高いのだ。

結果は、アメリカツアーの優勝に終わったけれど、結局4日間見てしまった。
次は2年後にメルボルン、今回見たゴルファーはどのくらい成長しているだろうか?
それとも、全く知らないスーパースターが出現している?

...楽しみだ。